胸の痛み(胸痛)の原因と症状



胸の痛みの原因と症状を知りましょう

胸の痛み 「胸がズキズキ痛む」
「胸が締め付けられるような感じがする」

このような経験がある方も多いのではないでしょうか?

これらの胸の痛みの症状は、「何らかの病気のサイン」かもしれません。
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胸の痛みの原因

胸の痛みの原因には様々なものがあり、胸痛が出た場合には主に心電図検査・レントゲン写真によって検査が行われます。


●胸痛がある「心臓の病気」

狭心症、心筋梗塞
急性心筋炎
僧帽弁逸脱症
大動脈弁疾患
不整脈
心臓神経症
急性心不全 など

●胸痛がある「呼吸器の病気」

肺炎
胸膜炎、膿胸
縦隔気腫
肺がん
肺血栓塞栓症
気胸 など

●胸痛がある「血管の病気」

肺血栓塞栓症、肺梗塞症
大動脈瘤破裂
解離性大動脈瘤 など

●胸痛がある「消化器の病気」

食道破裂(ブールハヴィー症候群)
逆流性食道炎
急性膵炎
胆のう炎
胆石症
十二指腸潰瘍
胃潰瘍
食道痙攣 など

●胸痛がある「胸膜疾患」

胸膜炎
胸膜腫瘍(悪性胸膜中皮腫) など

胸の痛みの原因

突然の胸痛

突然の胸痛が出る疾患で考えられるのは、

狭心症
急性心筋梗塞
肺血栓塞栓症、肺梗塞症
解離性大動脈瘤(大動脈解離)


などです。

突然の胸痛

深呼吸や咳をすると胸が痛む

咳、深呼吸をすると胸が痛む・・・
そんな症状が出ている場合は、「胸膜炎」という病気が考えられます。

胸膜炎とは、胸膜腔という部位に胸水が溜まってしまう病気です。

胸膜炎の原因となる病気

・心不全
・低蛋白血症 (ていたんぱくけっしょう
・石綿肺 (せきめんはい)
・肺梗塞
・膠原病 (こうげんびょう)」
・結核
・肺がん など


深呼吸や咳をすると胸が痛む

呼吸困難を伴う胸痛


【呼吸に伴って起こる胸痛から考えられる病気】

急性心筋梗塞
[症状] 呼吸困難、激しい胸痛が30分以上続く、意識障害

急性心不全
[症状] 胸痛、激しい呼吸困難、唇が紫色になる、咳、泡みたいな痰が出る

急性心筋炎
[症状] 下痢などを起こした後で胸痛に襲われる、呼吸困難、鼻水、発熱

肺炎(肺化膿症)
[症状] 胸痛、咳、呼吸困難、意識障害、膿の混じった痰

胸膜炎、膿胸
[症状] 呼吸困難、咳や深く息を吸うことで悪化する胸痛、発熱

特発性食道破裂(ブールハヴィー症候群)
[症状] 上腹部痛、飲酒した後に強烈な胸痛が起きる、呼吸困難

急性膵炎
[症状] 胸痛、発熱、嘔吐、上腹部痛、左背部痛、吐き気

心臓神経症
[症状] 呼吸困難、左側の胸にチクチク・ズキズキとした痛みが出る、息切れ、動悸

自然気胸
[症状] 呼吸困難、突然に起こる胸痛、乾いた咳が出る

肺がん
[症状] 胸痛、呼吸困難、咳、骨に痛みがある、体重が減る

呼吸困難を伴う胸痛

飲酒⇒嘔吐後に起こる胸痛

飲酒をした後に嘔吐することはよくある光景ですが、何の持病も持っていないのに嘔吐の次に胸痛が起こる病気をご存知でしょうか?

特発性食道破裂(ブールハヴィー症候群)」と言います。

特発性食道破裂ってどんな病気?

特発性食道破裂(ブールハヴィー症候群)は食道が破裂する病気です。
原因は飲酒をした後の嘔吐です。

嘔吐によって食道内の圧が上がった結果、正常な食道が破裂してしまうという、実に恐ろしい病気です。

飲酒⇒嘔吐後に起こる胸痛

背中の痛み

内臓の病気が原因で胸の痛みが出ることがありますが、時には背中の痛みとして出てくる場合もあります。

これは「関連痛」といって、実際に異常がある部位とは違う部位に痛みが発生する症状で、内臓と胸・背中の神経が繋がっているために起こります。

[外部サイト:背中の痛みの原因と症状]

背中の痛み

狭心症、心筋梗塞

狭心症と心筋梗塞は2つを総称して冠動脈疾患と呼ばれています。

冠動脈というのは心臓の動力源。
心臓の筋肉に血液を送りこんでいる血管です。

この冠動脈に障害が生じるのが狭心症であり、心筋梗塞です。

狭心症、心筋梗塞

急性心筋炎

心筋炎とは心臓の筋肉に炎症が起きて破壊され、心臓が弱ってしまう疾患です。

心筋炎には急性と慢性がありますが、ほとんどの患者さんは急性心筋炎を発症します。
小児にはあまり見られません。

急性心筋炎

僧帽弁逸脱症

僧帽弁逸脱症とは、左心房と右心房の間にある「僧帽弁」がたるみ、左心房側に落ち込む病態を言います。

僧帽弁逸脱症には病気とは呼べない治療の必要すらないものから、手術が必要な病態まで様々あります。

僧帽弁閉鎖不全症を発症すると、不整脈・感染性心内膜炎・脳梗塞などの合併症が起こりやすくなるので危険です。

僧帽弁逸脱症

大動脈弁疾患

大動脈弁疾患とは、「大動脈弁狭窄症」「大動脈弁閉鎖不全症」を指します。

大動脈弁狭窄症とは?
大動脈弁(心臓の出口にある弁)の開放が制限されてしまう疾患です。

大動脈弁閉鎖不全症とは?
大動脈に心臓から出された血液が、心臓内に逆流する疾患です。
これは大動脈弁が閉じない為に起こります。

大動脈弁疾患

不整脈

不整脈とは、心臓が以下のような状況が原因で脈拍が不規則になった状態を指します。

・頻脈(心拍数が非常に多い)
・徐脈(心拍数が非常に少ない)
・電気刺激が異常な伝導経路を取る


不整脈とは心臓の電気の乱れで、「頻脈性不整脈」と「徐脈性不整脈」の二つの種類があります。

◆頻脈性不整脈・・・正常洞調律より脈が早い
◆徐脈性不整脈・・・正常洞調律より脈が遅い

不整脈

心臓神経症

心臓神経症とは、息切れや胸痛、動悸などの症状が出ているにも関わらず、心筋梗塞・心筋症・弁膜症などの機能的、器質的な心臓疾患などの異常が見られない病気です。

自律神経失調が影響しているという説もあり、心臓の病気ではなく「こころの病気」だと言われています。心臓神経症が心臓の病気に移行することはありません。

心臓神経症

急性心不全

急性心不全とは、心臓の働きが低下して全身の血流がうっ血状態に陥ることで起こる病気です。

急性心筋梗塞、拡張型心筋症、心臓弁膜症、甲状腺機能亢進症、先天性心疾患、高血圧性心疾患などの病気を引き金にして発症するパターンが多いようです。

急性心不全の症状

・激しい呼吸困難
・痰 (ピンク色で泡のような痰が出ます)
・咳
・唇が紫色になる
・冷汗
・動悸


急性心不全は心臓喘息とも言われる病気です。
気管支が肺うっ血で圧迫されると喘息のような症状が現れます。

急性心不全

肺炎(肺化膿症)

肺炎とは肺が炎症を起こす病気の総称です。

ウイルスや細菌が原因で起こる病気であり、非感染性の肺炎・感染性の肺炎の2つに大きく分けられ、ほとんどのインフルエンザは感染性肺炎です。


◆細菌性肺炎・・・黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌、肺炎球菌など。

◆非定型型肺炎・・・クラミジア、マイコプラズマ、レジオネラなど

◆院内肺炎 ・・・グラム陰性桿菌、グラム陽性菌など

◆嚥下性肺炎 ・・・口腔内常在菌


上記のような肺炎の原因になる細菌、ウイルスは口や鼻から体内に入り込みます。

健康であれば病原菌をブロックできるのですが、免疫力が落ちている際には肺炎を発症してしまいます。

肺炎(肺化膿症)

胸膜炎、膿胸

肺と胸壁の間に「胸腔」という部位があります。
胸腔の内側を覆っているのが胸膜です。

胸膜に炎症が起こっている状態を「胸膜炎」といい、そのうちの病原体による感染が原因の症状を膿胸(のうきょう)と言います。

胸膜炎、膿胸

縦隔気腫

縦隔気腫とは、縦隔という胸腔を区切っている部位に気体(気管支または気管から漏れ出てきた空気)が溜まってしまう疾患です。

縦隔は肺にはさまれるようにして真ん中に位置し、円筒の形をしていて縦に広がっています。

縦隔気腫

肺がん

男性が発症するガンの一位である「肺がん」。
肺胞や気管支から発生する悪性腫瘍です。

原因で多いのがタバコ、化学物質で、肺の局所に腫瘤ができ様々な症状を引き起こします。また、他の臓器やリンパ節にも転移をくり返し死に至ることもあります。

がん患者の8割が喫煙者であるということが分かっています。

肺がん

肺血栓塞栓症

血液の塊が肺動脈に詰まってしまうことで、肺動脈の流れが悪くなったり閉塞してしまう病気を「肺血栓塞栓症」と言います。

肺血栓塞栓症の原因

・飛行機に長時間乗っていることで同じ姿勢を保つ
・病気などで長期間寝たきりである


こういったことが原因で血流を悪くさせてしまいます。

その結果、下肢の深部静脈で血栓ができて身体を動かそうとした際に血栓が血流に乗って移動。肺動脈を塞いでしまうのです。

肺血栓塞栓症

胸膜腫瘍(悪性胸膜中皮腫など)

胸膜腫瘍は中皮細胞が腫瘍になったもので、「転移性胸膜腫瘍」と「胸膜中皮腫」に大別されます。

※胸膜とは?
二枚の肺を包んでいる薄い膜を指し、中皮細胞から出来ています。

胸膜腫瘍(悪性胸膜中皮腫など)

気胸

気胸は肺に孔があいて、空気が胸腔内に漏れて肺が縮んでしまった状態を指します。

気胸には、「自然気胸」「外傷性気胸」「医原性気胸」「月経随伴性気胸」等がありますが、9割は自然気胸です。

気胸

大動脈瘤破裂

大動脈瘤とは、腹部大動脈または胸部大動脈が瘤(こぶ)のようにふくらんだ状態を指します。

大動脈瘤が恐ろしさを発揮するのは瘤が破裂した時で、大動脈瘤破裂は大量の出血を伴う為に、人工血管に取り替えない限り命は助かりません。

破裂しやすいのは瘤が大きくなっている場合で、大きければ大きいほどそのリスクは高まります。

大動脈瘤破裂

解離性大動脈瘤

解離性大動脈瘤は現代医学の中で最も治療が難しい病気の一つだと言われています。

大動脈瘤というのは、糖尿病や高脂血症など動脈硬化が起こることにより動脈が膨れ上がってしまう病気です。

また、梅毒が原因になるとも言われています。

解離性大動脈瘤

食道破裂(ブールハヴィー症候群)

特発性食道破裂は、「ブールハヴィー症候群」とも呼ばれます。

1724年にブールハヴィーによって報告された疾患である為にこの名称がつきました。

特発性食道破裂は、暴飲暴食や飲酒の後の嘔吐、出産による腹圧などが原因で食道の圧が急激に上がり食道が破裂してしまう病気です。

食道破裂(ブールハヴィー症候群)

逆流性食道炎


「胸がつかえる」
「胸やけがずっと続いている」
「食欲が落ちた」
「酸っぱいものが上がってくる感じがする」


これらの症状が起きる「逆流性食道炎(胃食道逆流症)」とは、食道に胃の内容物や強い酸性の胃液が逆流してしまう為に起こる食道の炎症です。

逆流性食道炎

急性膵炎

アルコールの影響で膵臓が膵液の消化作用を受けて起こる病気を急性膵炎と言います。

つまり、自分で自分自身を消化してしまうといった現象が起きてしまう病気で、厚生労働省の「特定疾患」にも指定されています。

急性膵炎

胆のう炎

胆のう炎は胸痛の原因になる病気です。

胆管や胆のうに細菌感染による炎症が起きて発症する病気で、胆石も持っているケースが多く見られます。

胆のう炎は急性と慢性の2つに分かれます。

胆のう炎

胆石症

胆石症とは、胆嚢(たんのう)や胆管に石ができる病気です。
以下の通り、石ができた部位によって結石の名称が変わります。

肝内胆管にできた石・・・肝内結石
胆管にできた石 ・・・胆管結石
胆嚢にできた石 ・・・胆嚢結石


胆管結石が80%を占めると言われていています。

胆石症

十二指腸潰瘍

十二指腸潰瘍とは、十二指腸粘膜部分に潰瘍が出来る病気で、十二指腸に「孔があく」「くずれる」「ただれる」といったような状態になります。

十二指腸潰瘍の特徴として、10代〜20代の若い世代の方が多く発症することが挙げられます。男女の比率は男3女1となっています。

十二指腸潰瘍

胃潰瘍

食物は消化するため胃液には強い酸が含まれているのですが、同時に胃の粘膜を胃液から守る為に胃は粘液を分泌しています。

しかし何らかの原因で粘液と胃液のバランスが崩れると、胃の粘膜が胃液で溶かされてしまいます。

こういったことが原因で、胃の粘膜下層までえぐれてしまった状態を「胃潰瘍」といい、40代〜50代の男性に最もよく発症します。

胃潰瘍

食道痙攣

食道痙攣とは、括約筋(かつやくきん)が異常収縮を起こしてしまう疾患です。

括約筋は胃と食道の噴門部(つなぎ目)にある筋肉です。食事をしている間は緩みを帯びて食べ物が胃に入るようになっていますが、通常は閉まっています。

これにより、胃の中の内容物が食道に逆流しないようにしているのです。

食道痙攣
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